幕末ものは血なまぐさい。
坂本龍馬、新選組、薩長同盟、西郷隆盛、白虎隊、五稜郭・・・誰に、どこに光を当てようと熱き血が・・・、飛び散る。今まで結構幕末ものを読んだり、観たり、見たりしてきたが、その権謀術策と陰惨さ、そして悲惨に人が死ぬ様に辟易して、今回の大河ドラマも食指が動かなかった。
しかしどうだろう!本作の爽快さは!!
まさにタイトル「青天を衝け」のイメージする通りだ。明治維新という政治の大転換期と共に根底から変わっていく経済の仕組みと、それを推進した人(渋沢栄一)に光を当てているせいだろう。なんとしても、国を開き前に進めなければならないと覚悟した人々の勢いと途方もない努力を描いていて、見ているこちらも前のめりになる。
渋沢栄一は、歴史的には教科書の本に1行くらいしか載っていない人物。知名度が低く大河の題材としては視聴率的には不安視されていたが、吉沢亮を筆頭にイケメンをこれでもかと投入、草彅剛(徳川慶喜)、堤真一(平岡円四郎)などの好演も光り、なかなかの見応えだ。しかも冒頭に書いた通り幕末ものの陰惨さがない。たぶん、坂本龍馬も人斬り以蔵も出てこないんだろうな。(山内容堂が出た時はちょっとドキッとしたけれど。)
ディーン・フジオカが(再びNHKで)五代友厚を演やると知って見始めたのだけれど、今は草彅慶喜を見るほうが楽しい。もちろん、吉沢亮(渋沢栄一)の、パリで西洋文明に触れ素直に驚く様や、真っすぐな熱い眼差しで新しい時代に身を投じる様も気持ちがいい。この時代の人々の純粋に国を憂え、西洋に負けたくないという気概を痛いほど感じる。
コロナ禍2年目、緊急事態宣言発出の繰り返しが日常になってきている今、あの頃は良かったと後ろを向くのではなく、これからどうなる?どうする?と前を見つめようという気になる。
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