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はやし蜜豆の犬も歩けば棒に当たる、

好きな俳優の作品を集中して観るのが好き。その記録や映画の感想、日常気になる現象をぼそぼそ綴っていきます。

「EUREKA(ユリイカ)」(2001年):タイトルが端的かつ的確に作品を表す

オダギリジョーの出演作をチェックしていて「サッド・ヴァケイション」を見つけ、それが、「Helpless」「EUREKA」「サッド・ヴァケイション」という青山真治監督の北九州サーガ3部作の一つということだった。役所広司が主演していることもあって「サッド・ヴァケイション」を鑑賞前に本作を観ることに。

 

3時間に及ぶモノクロ映画は、途中きっちりインターミッションがあり、そこで一旦鑑賞を止めたことで、後半を観るまでに随分間が空いてしまった。少し前にやっと後半を観終えたのだが、鑑賞後の感想は、正直「長かったーー」だ。

バスハイジャック事件で、乗客が次々に殺され、運転手の沢井(役所広司)と乗り合わせていた中学生の兄、直樹(宮崎将)と小学生の妹の梢(宮崎あおい)が生き残った。兄妹は事件がトラウマとなり、言葉を発せず引きこもり状態に。また、沢井も生き残ったことで被害者にも関わらず、世間から冷ややかな視線を受けることになる。
そして事件が発端で、兄妹の家族も、沢井の家族も壊れてしまう。事件で傷ついたの3人の心を理解することは家族でもできず、あの恐怖と死に直面した時間を共有した者だけが分かり合える何かがあったのだと思う。
その象徴的なシーンが、古いバスを改造して旅をする中、眠れない夜、バスの壁をコツコツと叩いて、兄妹と沢井が心を通わすシーンだ。事件のショックで言葉を発しなくなった兄妹。沢井だけが、彼らに寄り添い守ろうする。まるでそれが暗いトンネルに入ったままの沢井自身も救う唯一の方法かのように。あのコツコツのシーンは、じーんと心が温かくなった。

 

タイトルの「EUREKA(ユリイカ)」の意味を知らないまま観た。後で、それが古代ギリシャ語の「わかった!」「発見した!」という感嘆詞であると知ったのだが、同時に、ラストシーンで妹の梢が発した言葉と、その言葉に反応した役所広司の顔が浮かび、私なりに映画全編の内容が腑に落ちた気がした。

そして、これほどタイトルが作品の内容を端的かつ的確に表すのも珍しいのではないかと思えた。モノクロで、単調にも感じられるシーンが続く本作を観続けた意味は、ラストシーンの梢の”EUREKA!”(梢がEUREKAと言ったわけではない)につながっているのだ!
その時、梢はいつもそばにいた兄が去っていくことになり、寄り添っていてくれた沢井とも決別することを宣言した。長いモヤモヤのトンネルから抜け出し、ここから梢、沢井の新しい人生が始まるはず。(たぶんそれは、兄の直樹にとっても)

3時間の鑑賞時間に耐えた(?)後の”EUREKA”。何とも言えない疲労感と共に、”EUREKA=明らかになったこと”への達成感みたいな、不思議な感覚だった。

 

台詞がほとんどない、宮崎兄妹の演技が印象的だった。
後半はバスで移動する画が多く、引いたシーンが多いのだけれど、宮崎あおいのスタイルの良さが光った。

最後は、役所広司の顔のアップで終わったのだけれど、彼のアップで終わる映画は私の中で記憶にあるのは2作目。役所広司、イケメン云々と言うより、アップに耐えうる説得力あるいい役者の顔だと思う。

 

 

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