ユーミンの名曲にインスピレーションを受け、気鋭の作家による物語をドラマ化した本作。1回15分、1週間4話で完結。「春よ、来い」は3作品目で、原作は川上弘美。
本作に池松壮亮が出演していたから録画しておいたもの。
ドラマは3つの話が平行して進む。
両親の離婚後、母親に愛情いっぱいに育てられたカナコ(宮﨑あおい)。
母は病気で亡くなる前に、自分たちは願いを一つだけ叶えることができる一族だと告げ、”カナコは、”人を幸せにするためにその力を使ってねと言った。カナコは母が何にその力を使ったのか気がかりながら、それを確認することができずにいる。
最近、取引先の青年(岡山天音)に優しさと、相手を尊重する誠実さを感じてつき合い始めた。
ペンションを経営していた父親(田中哲司)が脳梗塞で倒れ、手伝いに帰った息子(池松壮亮)。
ここでも父は、息子に一族の持つ願いをかなえる力のことを話し、いつその力を、何に使うか思案している。
最後は、両親を交通事故で亡くした中学生の多英(白鳥玉季)。
学校でいじめられるようになり、家に引きこもるようになった多英を心配した叔母(小野花梨)は、多英を海へのドライブに誘う。
3話までそれぞれの話が平行に進むのだが、最終話で登場人物たちの優しさと思いがふんわりと交差する。
願いをかなえる力を持つ息子が偶然泊めた少女=多英の消え入りそうな姿を見て念じる。
「戻っておいでと強く思った。行っちゃだめだよ、戻っておいで。」
同じ力を持つカナコが、青年と朝日を見るために行った海辺で、車中泊中に見た夢の中の見知らぬ少女=多英にかけた言葉。
「幸せでいてね。」
「戻っておいで」と呼びかけるシーンが本作のクライマックスのように感じだけれど、それをほぼ目だけで表現する池松壮亮もさることながら、その必死さを必然にする白鳥玉季の居ずまいも素晴らしい。確かに体が透明になりそうな演出はあるのだけれど、暗い表情でもないのに心がそこにないような、こちらを見ているのに見ていないような表情が秀逸だった。
翌朝目覚めた多英は、朝の美しさ、清々しさ、そして自分の中にエネルギーを感じることができ、叔母に「私、大丈夫そう」と告げた。見ず知らずの他人の願いが、消えそうな少女の心に届いた奇跡だった。
ラストで流れるユーミンの「春よ、来い」が優しく世界を包んでいるようだった。
最後に、宮﨑あおい。久しぶりに見て年齢を経てはいるけれど、アップの笑顔は昔と全く変わらない無垢な透明感!宮﨑あおい、すげーと思いました。
おまけ:白鳥玉季のことを何かで書いた記憶があって自分のブログを検索したら、ありました。ほんの少しだけ触れています。☟
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