服部セイコーの創業者、服部金太郎の一代記を西島秀俊が演じるのでワクワクして視聴。
明治生まれ、丁稚だった青年は時計職人を経て時計店を営み、まだ時計が個人に普及していない当時、銀座のど真ん中に時計塔を作って、”平等な時”を人々に届けることを夢見て、後にそれを実現する。
それまでの道のりはもちろん簡単ではない。初恋の相手との別れ(夢のため自ら去るのだが)、火事で店を損失、旧友の商売への妨害、そして最大の試練となった関東大震災被災など、さまざまな困難が彼を襲う。しかし、どんな目に遭っても誠実さと理想を捨てずに立ち上がる主人公。ちょっといい人に描かれ過ぎて、ほんとかよ?と突っ込みたくはなるが、その代わり、変り者を演じた周囲が光った。
一人は時計作りしか興味のない職人、鶴彦を演じた山本耕史。そしてもう一人は最初は兄弟のような仲だったのに、後に敵対する丁稚仲間の善路。
鶴彦は、人との付き合いが苦手で人と目を合わすこともできない。これまでのどちらかというと陽気でお調子者の役を演じる山本ばかりを見ていたので、挙動不審な山本耕史が新鮮だった。
また、善路は金太郎に彫金職人としての腕を評価してもらえなかったことを逆恨みし、その後何年にもわたって敵対するのだが、関東大震災ですべてを失い打ちのめされた金太郎を強く励ましたのも彼だった。尊敬して手の届かない相手を慕い、妬み、恨み・・という複雑な感情を濱田が期待を裏切らず好演していた。
それにしても、金太郎の青年期を演じた水上恒司ほど昭和の青年が似合う、令和の俳優もそんなにいないだろう。実際、本作では昭和どころか明治時代を生きていたわけだが、金太郎の誠実、勤勉でバイタリティに溢れた男がとても似合っていた。
服部セイコーのセイコーは、最初に建てた時計工場「精工舎」の”せいこう”からきていること。オリンピックでよく見かけるSEIKOのロゴ。そして、今は大谷翔平がCMキャラクターをしているSEIKO。まさに日本のエクセレント・カンパニーの歴史を垣間見た気がした。
夢や理想を追う情熱、勤勉さ・誠実さだけではない、人の持つ良いところを見抜く力、時には冷徹な判断もしてきた金太郎は、やはり創業者として素晴らしい資質を持っていたことがわかる。
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