はやし蜜豆の犬も歩けば棒に当たる、

好きな俳優の作品を集中して観るのが好き。その記録や映画の感想、日常気になる現象をぼそぼそ綴っていきます。

「あゝ、荒野」(2017年)

菅田将暉が昨年度の日本アカデミー賞主演男優賞を取った作品。

実は公開後すぐ前篇・後篇を鑑賞した。以下は、このブログ開設前にFace Bookに投稿した映画の感想なのだけど、明日、WOWOW菅田将暉特集があり、この映画も放送されるので自分の中での復習の意味もあり読み返してみた。何を隠そう、この映画で10㎏増量してボクサーの体を作り、原作通りの美しい若い雄(新次)の姿を披露した菅田将暉に一発くらい、以降彼の作品を追いかけるきっかけになった1本だ。

 

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寺山修二の長編小説の映画化。舞台を1964年の東京オリンピック後の新宿から2020年の東京オリンピック後に移し、2人の男の孤独とどうにも収まらない激情をボクシングを通じてえぐり出す。

                 

前篇・後篇それぞれ2時間半ほどあり、特に後篇の山場となる2つの試合シーンは観ているこちらも力が入る。あそこまで人を殴り続けられる“熱”ってなんだろう。観終わった後、すごく疲れた頭で女の私は反芻するばかり。(男性ならわかるのかどうか知りませんが)

菅田将暉のギラギラと狂気じみた熱と対照的なヤン・イクチュンのつぶらな瞳の奥のブラックホールが際立つ。バリカン(ヤン)の瞳が追う新次(菅田)の後姿、二人が並んで走る姿、決して届かない、なれない自分、違うからこそ放っておけない二人。

犬コロみたいにじゃれあう男子を中高生の頃憧憬の目で見ていた私は、まさにこの映画の中の二人に嫉妬を抱きながら、同時に底なしの激情に慄きながら固唾をのんで前のめり、あるいは椅子の背に押し付けられながら鑑賞した。

映画の終わり方、最後のシーンがあまりにも衝撃的で、そのもやもやを解消したいと、原作も読んだ。小説は映画よりもっともっと、熱をもってひりひりするような荒野だった。そしてバリカンは最後、新次との試合が叶ってずっと欲求していたものを手に入れたのだと思った。菅田将暉はあのボクサーの体を作った時点で、新次と原作の世界をまさに体現した。鑑賞後、そして読後、何日間もBRAHMANの主題歌「今夜」が頭の中を回り、これほどinvolvedされた映画も久しぶりだった。

 

あゝ、荒野 前篇