ひょっとして、本作「いだてん」の主人公は役所広司演じる、加納治五郎なのではないかと思った。
それくらい、オリンピック招致活動には加納治五郎なくしては語り得ないし、演じる役所広司の存在感が大きすぎて、思わずそう感じてしまった。
どうしても第二次世界大戦前後を描くと背景が真っ暗になる。その暗さの中を、阿部サダヲが絶妙な台詞回しで、一筋の細い光をつくり疾走している感じ。
そして前半で出番が終わったと思った金栗四三の中村勘九郎が、仲野太賀と共に東京オリンピックに向けてちょいちょい再登場してきたことで、またあのバカみたいに正直でまっすぐな男の突き抜けた明るさがみられる!とハッピーな気持ちになった。
ところで、太賀を最近やたら見る。よくよく考えれば、林遣都とデビューが近いはずだし、年齢的は菅田将暉と同じで実際とても仲良しらしい。先日公開された「タロウのバカ」で共演している。今のところ主役級を演っている作品を見ていないけれど、若手の中でうまいよね。なんか中村勘九郎とのコンビがすごくいいなーと思う。
で、今回はその二人のことよりも、久しぶりに描かれた熊本の四三の婿養子先、池部のお義母さん、大竹しのぶについて。
いやあ、久しぶりに泣けました。四三が熊本の家族と家をほっぽって東京に行きたいといい、それを許す場面。別にもらい泣くシーンではないんだろうけど、さすが大竹しのぶだよね。おばあちゃん役にして、あのドスの効いた声と迫力で一気に場を持って行っちゃう。怒りと情けなさと、そして愛情深い年寄りの感情がつーっと真っすぐ伝わってきた。
おばあちゃんの大竹しのぶ、彼女の魅力を再発見できたシーンでした。(大竹しのぶはおばあちゃんではないと思うけど、役的におばあちゃんね。)