17歳の青年の一夏の恋の物語。
大人の男になる前の、蒼白く尖った細い体の中から突き上げる衝動。それを押さえるだけの、しつけられた品行と、聡明さからくる憂いのある黒い瞳。
撮影当時21歳くらいのティモシー・シャラメ、細マッチョでもないけれど、ほとんどのシーンが上半身裸の姿で登場、その姿だけですでに物語に必然性を持たせているところがすごい。
育ちのいい誰からも愛される青年、エリオ(ティモシー・シャラメ)の恋は、誰にも邪魔されることなく、そして否定それることなく静かに周囲から応援されていたように思う。衝動で抱いた女友達でさえ、彼の裏切りを許している。男性(オリヴァー=アーミー・ハマー)を慕う彼に対しては、別の女にとられるよりもよっぽど寛容になれるものなのだろうか。
繊細な心と美しい容姿を持つ青年と、魅力的で精力的なアメリカ人の青年との同性同士の恋愛ものだが、よく考えれば男女の物語としてありがちな設定。最初は反発し、そして近づいたり離れたり、北イタリアの美しい自然の中で愛を育む二人・・。特に大きな事件もなく、一夏を共に過ごした後別れがあり。。
ラストのティモシー・シャラメの泣き顔のシーンが結構長い。しかし、ずっと観ていられるほど切なくて美しい。
本当に蛇足なのだけど、本作のティモシー・シャラメを観ていて、同じ年頃の同性を相手にでき、かつ希有な美しさを持っている点で一致する「パレード」の林遣都を思い出さずにはいられなかった。
あの年齢に共通の(蒼白い)細い体を惜しみなく披露している点も一緒だが、個人的には細マッチョな遣都の方が好きだな。
※「パレード」の渾身の感想はこちら。☟