森星(もりひかり)を最近よくテレビで見かける。
森英恵のお孫さんで、森泉の妹。母親がイタリア系アメリカ人で身長にも美しさにも恵まれモデルをしている。その天真爛漫な明るさでお茶の間を楽しくする彼女。
彼女とは全然関係ないのだけれど、先日業務内容の変更で名刺を作成することになった。出来上がった名刺を見て「名刺入れがあったほうがいいよね」と思った。自宅に帰って引き出しを開けてみたら、ありました!就職祝いに母がプレゼントしてくれ名刺入れ。紺色で蝶の刻印。開けたら「HANAE MORI」と右下にあるやつ。
就職祝いというこは、今から何年前のものだ?
使い始めて10年もしないうちに、違う名刺入れに変えたので、以後は引き出しの中で眠っていた代物だ。ここにきて再び日の目を見ることになった。ひどく傷んだ様子もないし、いつまで名刺を使うかもわからないので、ひとまずこれを使おう。
で、ふと思った。
母は、高校を出て電話交換手の仕事をしていた。当時、名刺なんて持っていなかっただろう。そもそも当時の職業婦人に名刺はあったのだろうか・・・?でも、なんで娘の就職祝いに名刺入れを買おうと思いついたのだろうか。
男女雇用機会均等法ができて数年後、母も私が総合職で就職したことを知っていたから、いずれ必要だと思ったのかしら。
母は、仕事をずっと続けたかったらしいが、次女の私が生まれて義母に2人の孫を看てみらうのが難しくなり、不本意ながら仕事を辞めたそうだ。そのせいか、私が仕事の愚痴を言ったあげく辞めようか、転職しようかなんてぼやくと、いつも「もう少し辛抱しなさい」と言ってきた。その母のおかげで、その母のせいで、私はなかなか仕事を辞める決意ができなかった覚えがある。
その母も、認知症がここ数か月でぐっと進んできた。毎日かける電話は、同じ会話の繰り返し。声を聴くだけでは本当の様子はわからない。それでもほぼ毎日、決まった時間に電話をする。それを日課とすることで、電話している時間だけでも母が母として正気でいられるような気がするから。