義時(小栗旬)、どんな最期やねん。
ここまで主人公がダークに変貌していき、全ての凄惨な暗殺に関与しているのを見るのは、なかなか辛かった。
「鎌倉殿の13人」とは、頼朝(大泉洋)亡き後、鎌倉を治める後家人衆13人が、どうやって北条の手で消されて行くのかを描く物語なのだと、途中から思ったくらいだ。だからこそ、それを完遂した後の北条義時の最期は、壮絶なものであるはずと期待した。
最終回は、身内での毒の盛合い、という後から思えば笑っちゃいそうな展開に。
予めネットで義時の死についてチェックしていたので、多分毒を盛られる、しかもきっと菊地凛子演じる妻の、のえにと思っていた。それは当たったが、その毒を幼馴染みで、いつも義時の味方にいたと思っていた三浦義村(山本耕史)が用意した事実に、もはや義時は驚かなかった。ここ数年の三浦の不穏な動きに勘づいていたからだ。
三浦が用意した毒入りの酒を勧める義時。飲んで毒が回ったと勘違いし最期に本音をぶちまける三浦。結局毒は入っていなかったのだが、山本耕史の演技は流石だった。変わり身の早さで、陰謀渦巻く鎌倉幕府創成期をサバイバルしてきた三浦ではあるけれど、義時との決定的な違いは、信念と大義の欠如であったことを強烈に印象づけた。
さて、義時の最期について。
政子(小池栄子)と義時。最後に生き残った姉弟。鎌倉を守るという大義の元、北条の地位を二人三脚で磐石にした二人だが、その思いは決して同じではなかった。政子は北条を守るため、時に義時に利用され、我が子二人、孫までも殺されている。
二人で静かに語らいあっている時、義時が口を滑らし、病死したと伝えていた頼家(金子大地)も、やはり義時の指金で殺されたことを知る。そしてその口で、義時は承久の乱後の後鳥羽上皇の子息の暗殺をほのめかす。この期に及んでまだ殺生をするのか。もはや怒りよりも、そのようにしか思考できなくなっている、"これまで頼りにてきた"弟に、悲しさと絶望しか感じない政子。
体に毒が回り、苦しみながら薬を所望する義時の前で薬を捨て、見殺しにしたのは、他でもない姉の政子であった。
意識の失くなった義時にすがり「ご苦労様」と泣き崩れる政子。―完―
これが義時の最期。
オープニング、疾走感溢れるテーマ交響曲ではじまり、毎週ワクワクした。粗野で野心に溢れた愛すべき坂東武士、坂東の人々。かなり面白いやり取りのあった北条家の人々。三谷幸喜が描く、鎌倉幕府、ひいては武士の世がどのように創られていったかの物語は、始まりとは対照的に静かに静かに幕を閉じた。
改めて、三谷幸喜、すげー!