後の紫式部、まひろ(吉高由里子)と藤原道長(柄本佑)の身分差による悲恋の横で、粛々と一族の天下を築いていった道長の父、兼家(段田安則)。第13回では、その兼家が歳をとり、徐々に耄碌して老い先が短いことがわかる。
天皇の外戚になるために謀略に陰陽師(ユースケ・サンタマリア)を利用し、3人の息子たちに自分のやり方を叩き込む。段田の細い鋭い目は迫力満点。そして老いて、あちらとこちらの世を行き来しているようなぼんやりした眼も、また人の終末を物語っていて深みがあった。まさにここまでは”段田劇場”だったんだと思った。
やり手の兼家の跡を継ぐのは3兄弟の誰か。
長男の道隆(井浦新)が最も本流だろうが、今のところ人が良く凡庸な感じに描かれている。成長した息子、伊周(三浦翔平)が登場して聡明さを発揮した際、ただのいい人然としてぽやっとしている父親の道隆が「おっさんずラブ-リターンズ-」の和泉と優秀な菊様に見えたのは私だけ?(たぶん)
それにしても、武士が本格的に台頭しておらず剣や流血をほとんど見ない、雅な平安世界の話なのに、時々ものすごくハラハラドキドキするシーンがある。
兼家に恨みを持った道長の2番目の妻、明子(滝内公美)が、耄碌した兼家に対峙し、扇を所望するシーン。ひょっとしてその場で呪い殺すのかと思ってヒヤヒヤしてしまった。また、藤原3兄弟の次男道兼(玉置玲央)が野心を秘めて行動するとだいたい緊迫したシーンになる。
道長の北の方(正妻)の倫子(黒木華)が、以前まひろが道長に送った手紙を見せて、書いている漢詩の意味を問うた時も感づかれた!?と思ってドキドキした。
道長とまひろの結ばれない恋は本当に切ないけれど、その横でこの時代の市井の暮らしと上級貴族の生き方のギャップを描きつつ、熾烈な権力争いを勝ち抜いていく道長の今後が楽しみだ。(「鎌倉殿の13人」の義時・小栗旬みたいに、とってもいい青年からとんでもない策士に豹変していくのだけは勘弁してほしいけれど、それもまた面白いか。)
また、娘がより位の高い男と結婚することで、娘の家が経済的に安定するという時代、女性もなかなかしたたかな部分もあったようだ。道長の姉の詮子(吉田羊)をはじめ前述の明子、そして倫子。まひろの意志の強さも相当で、吉高由里子がぴったりはまっている。
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