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はやし蜜豆の犬も歩けば棒に当たる、

好きな俳優の作品を集中して観るのが好き。その記録や映画の感想、日常気になる現象をぼそぼそ綴っていきます。

「グリーンブック」(2019年):Far East に住む私が、BLMについて考えるきっかけに

”グリーンブック”とは、1962年当時、アメリカを旅するアフリカ系アメリカ人旅行者が泊まれるホテルやレストランなどを記したガイドブックのことだ。

本作で、黒人ピアニストを演じたマハーシャラ・アリはアカデミー賞助演男優賞に輝き、主演のビゴ・モーテンセンは主演男優賞にノミネートされた。

当時の黒人差別のエグさを、音楽の才能だけでなく高等教育を受けDr.の称号まで持つ黒人ピアニスト、ドンと、粗野で無学なイタリア系アメリカ人のドライバー(兼用心棒)のトニーの旅を通じてコメディタッチで描いた本作、人種差別を扱った作品にしては、エンターテイメント性があり、重過ぎない。

ジョージ・フロイド事件で、”Black Lives Matter"運動が北米やヨーロッパで盛り上がっているのを知っているせいか、この映画の中で描かれる2人の警察官の態度が印象深かった。

最初に登場した警察官は、スピード違反で彼らの車を止め、なぜドライバーが白人で黒人がボスなのか納得せず、ついでに白人がイタリア系だったこともあり、彼らをバカにした。終盤に登場した警察官も、彼らの車を止めたが、理由はタイヤが外れそうだったことを指摘するためだった。白人ドライバーの後ろに乗る黒人雇い主に対して、分け隔てなく”メリー・クリスマス”の挨拶を交わして彼らを解放した。

旅の始まりから終わりまでに、白人トニーの黒人に対する考え方が変化したと同じように、象徴的(かつ希望的、そしてややファンタジーではあるけれど)な”社会”の変化を映画は提示して終わった。

観終わって、黒人を差別しなかった警官、そしてそれまで黒人蔑視だったトニー、およびその親族一同の変化を見て、希望はあるではないか!と思った一方で、今から50年以上前、そのずっと前から脈々とある黒人差別が、今では有色人種まで広がり、現在も絶えることなくアメリカ社会に深く根を下ろしていることに絶望する。

 

ここから映画とは少し離れてしまうが、コロナの渦中、先月19日にWeb開催された「Juneteenth」(アメリカにおける「自由の日:Freedom Day」:リンカーン大統領の奴隷解放宣言から2年後の1865年、最後まで奴隷制度が根強く残っていたテキサス州で黒人奴隷が解放された日としてお祝いされている。)のWebイベントに参加したことについて記しておく。

何を隠そうこのイベントの開催で、私は「Juneteenth」(自由の日)を知った。アメリカにおける黒人差別に対する、長くて深い歴史がもたらす諦めと抵抗と怨念に似た空気を、インターネットを通してではあるがLiveで体験したことで、これまで自分にとってはあまり関係ないと思っていた人種差別について少し考えることとなった。自分の周りに人種差別が全くないかと言えば、差別はなくても人種に対する偏見は蔓延している。そして、マイノリティに対しての無意識の偏見は、日常に転がっていることに気づく。

しかし、気づいたからといって自分がどういう行動ができるのか、私にはわからない。今はわからないけれど、行動するべき時が来た時に、正しい判断、正しい行動ができるよう、知ることをやめない、学ぶことを続けようと思った。

 

「グリーンブック」、たくさんの気づきをくれる作品だ。抑えた表情や作り笑いの中に、無限の悲しみと怒りと孤独を秘めたマハ―シャル・アリの演技が光った。そして、ビゴ・モーテンセン!いつからあんなにデブのおっさんになっちゃったんだ!?って思ったけれど、粗野だけど大らかで、愛情深い”やんちゃオヤジ”が憎めなかった。

 

グリーンブック(字幕版)

グリーンブック(字幕版)

  • 発売日: 2019/10/02
  • メディア: Prime Video