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はやし蜜豆の犬も歩けば棒に当たる、

好きな俳優の作品を集中して観るのが好き。その記録や映画の感想、日常気になる現象をぼそぼそ綴っていきます。

「エルネスト もう一人のゲバラ」(2017年):俳優、オダギリジョーの凄さを思い知る

見終わってからの率直な感想は「よく演ったよ、オダギリジョー、よく撮ったよ、阪本監督!」

 

ゲバラ没後50年を記念して、日本とキューバ合作というが、日本色はほとんどなく、ほぼ洋画。
映画の冒頭で描かれる、ゲバラが日本を訪問するシーン以外は、すべてキューバ、南米での話であり、登場人物も日系2世のオダギリジョー以外はすべてキューバ人。オダギリジョーの台詞も、モノローグ含めすべてスペイン語。その(役の)性格から佇まいまで、およそ日本人には見えない。

オダギリジョー、撮影時たぶん40歳前後だと思うが、ここでも20代を演じで全く違和感なし。ラストシーンから撮影したとのことだが、12キロ減量して臨んだ長髪のゲリラ姿は、細い腰、浅黒い肌で頬はコケ、まるで現地人だ。

 

本作は、キューバ革命の後、チェ・ゲバラとボリビア革命戦線で共に戦った日系移民2世、フレディ・前村・ウルタードが革命に身を投じていく様が描かれている。原作は、フレディ本人の姉弟の著書「革命の侍~チェ・ゲバラの下で戦った日経2世フレディ前村の生涯」。

ゲバラも医者だったが、フレディも医者を目指してボリビアからキューバに留学している。当時の南アフリカの国々は、資本主義諸国からの搾取に国民が苦しみ、社会主義を理想とする革命の精神がそこかしこで芽生えていた。フレディはボリビアで、勤勉な日系移民の2世として比較的裕福な家庭で育ったが、貧しい農民でも医療を受けられる国にしたいという理想を持って医学の道を志していた。

キューバの大学で勉学するうちに、カストロに遭い、ゲバラに遭い、自国ボリビアで革命が勃発し、医大を卒業する直前に、ゲリラに身を投じるフレディ。医学部生の時から、社会主義革命の理想を心に掲げ、勤勉で、弱きを助け卑怯者を糾弾する血たぎる熱き若者。

私がこれまで見たオダギリジョーとは全く違うキャラクターを演じていた。

 

当時の、理想を掲げ、闘争で革命を起こすと信じ、信念を持って戦闘に身を投じる若者の姿は、無理やり「お国のために戦ってきます」と言わされて戦地に赴いたに先の戦争末期の日本の若者とは全く違ってみえた。
これまで日本の戦争映画やドラマで、負け戦に出征する若者を見る時、いつもやるせない怒りと悲しみと諦観の入り混じった気持ちで見てしまっていたが、フレディにはそれは感じなかった。
作品の中では、医学部を辞めて戦地に行く、フレディをバカげた行為と笑った仲間もいたが、医者になるよりも、今己がするべきこと、理想を信じて突き進んだ若者を笑うことはできない。

 

しかし、、フレディも、そしてゲバラも、殺され方は悲惨極まりない。

どんなに理想に燃えて、正直な道を歩んだ人でさえ、戦闘下では一兵士と同様に、それこそ命の重さに分け隔てなく、簡単に殺される。
彼らの理想、それを追求した高邁な行動、それらの上に、今の私たちの平和がある。そうまとめるくらいしか(作品の中でもそんなシーンがある)、若干25歳の若さで、革命の理想に散った若者を弔う言葉は思いつかない。

 

※追記

チェ・ゲバラについては「モーターサイクル・ダイアリーズ」という映画が公開された時に、ゲバラに興味を持ち、著書を(身の程知らずに‼)読んだことがある。書かれていることは社会主義の理想であり、それを実現するための革命についてだったと思うが、その本がやたら漢字が多かった記憶がある。

そして、このブログも、いつになく漢字が多いことに途中から気がついた。

思想を語ると(いや、私が語っているわけではないけれど)漢字が多くなるんだな。

 

エルネスト (字幕版)

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