薬物中毒者(更生プログラムを受講中)で、路上生活者だった主人公ジェームスが、野良猫を助けたことをきっかけに再起を果たす物語。
実話に基づくストーリーなので、劇的な動物との”友情”や”絆”のシーンが脚色して入っているわけではなく、ジェームスが路上ライブや「ビッグ・イシュー」(雑誌)を売ることで生計を立てる様、ソーシャルワーカーをはじめとする、彼の周囲の人の好意やその逆、そして彼が断薬するまでが淡々と描かれていく。
確かに、路上ライブや雑誌の販売で、ジェームスの肩に乗った猫=ボブは人気者となり、ボブを目当てにジェームスから雑誌を買ったり、一緒に写真を撮らせてほしいと言われたり、人生が急に好転するシーンはあるが、猫をきっかけにしたサクセスストーリーと言うよりは、薬物中毒者でホームレスだった若者の再生への道のほうがより印象に残った。
ソーシャルワーカーとのやり取りや、怪我をした動物を無料で治療してくれる動物病院、職のない人が雑誌を売ることで収入を得るシステム。炊き出しの存在。
イギリス社会のバラエティに富んだ”セイフティネット”も興味深かった。同時に、他人の同情を得ることがいかに難しいか、そして一旦道を外した者がたどる道がいかに険しいかということも。
終始、猫の目線でジェームスの生活を映していたのも印象的だった。
下から見上げるジェームスの、その日暮らしの危うさと気ままさが何とも言えない。
何もかも失くした若者が、相棒(ボブという猫)を得たことで、マイナスから立ち上がる様は誰もが応援したくなるだろう。
助けられるだけの者から、他者(この場合猫)を助けることになったからこそ、ジェームズは頑張れたのかも。助けた猫は彼にとってかけがえのない存在となり、猫の恩返しは破格だった。
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