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はやし蜜豆の犬も歩けば棒に当たる、

好きな俳優の作品を集中して観るのが好き。その記録や映画の感想、日常気になる現象をぼそぼそ綴っていきます。

「今朝の秋」(1987年NHKドラマスペシャル):笠智衆の父親像に、自分の父が重なる

昨年暮れ、脚本家の山田太一さんの追悼番組で再放送された本作を見た。

物語は、余命3カ月とわかった息子(杉浦直樹)を、父親(笠智衆)と別れた母親(杉村春子)、嫁(倍賞美津子)が見送るというものだが、それぞれの関係性が微妙で、彼らの心の機微が丁寧に丁寧に描かれていた。

80歳近くまで生きて、50代になった息子に先立たれる父親を、笠智衆が哀愁と諦観、そして慈愛に満ちた表情で演じきっていた。杉浦直樹の演技も素晴らしく、大人になっても親は親、子どもは子どもであることをしみじみとかみしめた。

 

実は、正月に実家に帰省した時、まさに90歳近い父親と過ごす中同じことを感じた。

帰省したその日、煮しめ2回戦目(1回目は自分の家で)を終え、久しぶりに高校の友人たちと夕食後に会った。父には10時頃には帰るよと言って出たのだが、コロナ期間もあって4、5年ぶりに会った友人もいて大いに盛り上がり、気づけば11時半近く。帰宅したのは11時半を過ぎていた。
とっくに寝ていると思っていた父は、居間でテレビをつけて待っていた。「ごめん」と言ったが、父は一言もは発せず、めちゃくちゃ怒っているのだろうか・・と恐縮しながらそそくさと風呂に入り部屋に退散した。そうしたら布団が敷いてあった。
母は寝たきりになる前、よく寝床の用意をしてくれたが、父が布団を敷いてくれたことは記憶にない。風呂に入る前に部屋のエアコンをつけたから布団に暖かい風が当たったのだろう、布団が温まっておりすぐ眠れた。
朝起きても布団全体が温かい、なんのことはない、父が電気毛布を敷いてくれていたのだった。(電気毛布を使う習慣がないせいで寝る時は全く気がつかなかった)

昨夜の沈黙といい、電気毛布といい、父の愛情が身に染みた朝だった。
母に会いに、父に食事を作りに帰省しているつもりが、実はいつまでも子どもとして面倒をかけているのは私のほうだった。(親孝行のまねごとをさせてもらっているという意味でも)

ところで、小娘でもあるまいし何時に帰ろうが小言をいうはずもないのだろうが、あの夜の父の無言はしばらく忘れないだろう。そして肝に銘じた。沈黙こそ相手に応える時があるということを。出かけたらいつも終電ぎりぎりで帰る自分の娘に、これからぜひこの戦略でいこうと、身をもって父から教えてもらうこととなった。

 

作品に戻るが、笠智衆演じる田舎で暮らす父親の在り様と自分の父親が少しばかり重なり、年明けの実家での出来事と一緒に、忘れられない作品になった。

 

 

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