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はやし蜜豆の犬も歩けば棒に当たる、

好きな俳優の作品を集中して観るのが好き。その記録や映画の感想、日常気になる現象をぼそぼそ綴っていきます。

「硫黄島からの手紙」(2006年):二宮和也の俳優としてのすごさを思い知る

第二次世界大戦末期、日本軍と米軍の硫黄島の死闘を、日米双方の視点で描いた2部作「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」

クリントイーストウッド作品、渡辺謙主演、オーディションで一兵卒の役を射止めた二宮和也が出演している戦争映画、という程度しか前知識がなかった。そして不覚にも2部作の後編となる本作を先に観てしまったのだが・・。

これ、主役はニノ(二宮和也)だよね。
撮影当時23歳と思われる二宮和也の、小柄で痩せた体、坊主頭にするとより日本人らしいつるっとした薄い顔が、誰よりも一日本兵に見えた。第二次世界大戦の日本兵として描かれがちな、獰猛さや狂信的瞳はこの人に全くなく、本作の描く”日本兵もアメリカ兵も同じ人間”ということを語るに相応しい”フラット”ぶり。全編フラットに演じるも、最後に爆発する怒り。そこにアイドル二宮和也は微塵もいなかった。

 

物語は島に指揮官として栗林中将(渡辺謙)が赴任してきた頃から始まる。すでに敗戦が濃厚となり、硫黄島が最後の日本軍の砦と言われながらも島への援軍はなく、孤軍となって上陸してくる米軍に備えている。村民たちは本土に返され、兵士だけになった硫黄島で日常となった戦争と仲間の死、そして日本にいる家族へ手紙を書き続ける兵士たちの姿が家族との回想シーンと共に戦闘シーンの合間に淡々と描かれる。

島が陥落することがほぼ現実のこととなり、上官の命令に従わない中間の指揮官の誤った妄信により玉砕(自殺)を余儀なくされた者、生きることを選んで投降者した者、どちらを選択しても悲劇でしかなかった。(投降した日本兵を射殺するアメリカ兵が描かれ、当時の日本兵の妄信や自暴自棄の勇猛=自爆だけで戦争の愚かさを描いているのではないところが良かった)
中村獅童が演じる孤立した指揮官の末路も面白いと思った。獅童の憑き物が取れた表情がいい。

最後、飲まず食わずで数日戦い、戦いというより本部まで爆撃の中移動し、栗林中将の最後を看取った西郷(二宮和也)の、真っ黒で半死状態の顔が目に焼き付く。
西郷はパン屋だった。西郷と仲の良かった兵隊は洋服屋だった。戦争でなければ軍とは無縁の普通の人々が塹壕を掘り、人を撃つ練習をする。
西郷という一人の兵士の目と生き様を通して、非常時における個々人のあり様みたいなものを深く考えた。奇しくも今「コロナ禍」という世界中の人々が巻き込まれ、不安の日々を過ごすパンデミックの最中だ。爆弾が落ちてくることはないが、異常事態の中、個々人の日常の正気と判断力が問われる時だ。

 

大きな魅せ場みたいなシーンは無かったけれど、数日間頭に残るモノクロ映像の数々。クリントイーストウッド作品、恐るべし。次は「父親たちの星条旗」を観ます。

 

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