はやし蜜豆の犬も歩けば棒に当たる、

好きな俳優の作品を集中して観るのが好き。その記録や映画の感想、日常気になる現象をぼそぼそ綴っていきます。

「横山大観展」

こういった大きな作品展に来たときは、膨大な数のwork と膨大な人の頭を見る中で、1点でも2点でも自分のお気に入りの作品を見つけられたらいいと思うくらいの心持ちで観る。それが疲労困憊しないコツと心得ているが、今回は墨画の筆致を見ずにはおられず、他の鑑賞者の歩みに従って同じように1点1点をしっかり観たせいで疲れ果ててしまった。それほど、観る者に期待と緊張感を与える筆の線、墨の色だった。
備忘録として、お気に入りの作品を書き留めておこう。


「竹雨」
墨のぼかしだけで表現される雨。多くの作品で雨は線で描かれず、墨のぼかしで表現されているのだが、この作品は真っすぐ伸びた竹と蕭々と降る雨とのコントラストがなんとも情緒的に見えた。

「夜桜」「紅葉」
鮮やかな色彩の大作2点が並べられていた。木の幹、花、葉、今回の作品展では横山大観の描く植物に本当に心動かされた。同じ花にして同じ色にあらず、緻密な線と幾通りもの色のぼかしが見る者の心に無限の空間を提示するかのごとく圧倒的に迫ってくる。

「柚子」
墨の黒で描いた葉。線となる白をどうやって作っているのだ?と何度も観てみたのだが・・・。墨の黒がここまで雄弁に植物の美しさを語るとは。

「生々流転」
40メートルに及ぶ墨画、巻画。墨1色にして、四季、1日の自然や水の営みを大家の筆致で豊かに鮮やかに力強く表現。皆がゆっくり観賞してなかなか進まないと、係りの人にクレームをつけていたおばさまがいたが、この大作をさーっと流しては観れないだろう。そこは忍耐だ。
松林を遠くから眺めた時は、息が止まるほどの絶景だった。墨を通して自然への畏怖さえ呼び覚ます。巻末(まさに!)の龍の昇天を表す渦はまさにクライマックスに相応しい迫力だった。


最後に一つ。作品解説の文章があまりにも秀逸で、読み進めていて楽しくなった。
係の方にどなたが書いているのか訪ねたら、ツルミさんとナカムラさんと教えられた。検索してみたのだが、お二人は東京国立近代美術館の主任研究員の鶴見香織さんと中村麗子さんのことだと思われる。書いたのは女性だと思ったのでたぶん間違いない。この方たちの解説文を読みながら鑑賞していったのでヘロヘロになりながらも全て観ることができたのだと思った。美術館を出て、”ものすごいものを観た”と、改めて噛みしめながら帰途に就いた。

taikan2018.exhn.jp