事務所から独立して、映画、ドラマへの出演が増え、お茶の間にもその演技力が認知され始めた池松壮亮の主演映画。
少し先の未来(原作では2040年代らしい)、日本の社会は、一定の条件が整っていれば自由死(自死)を認めている。亡くなった人の生前のデータをAIにインプットし、ヴァーチャル・フィギュアを作り、ヘッドセットを通して話すこともできる。ヘッドセットをつければ、たとえ病気で寝たきりになっても、”リアル・アバター”と呼ばれる請負人にカメラを持たせて、行きたいところに行ってもらい、その映像を体験できる世の中だ。
嵐の夜に自由死を選んだ母親(田中裕子)に、自由死を選んだ理由を聞きたくて、母親のヴァーチャル・フィギュアを作った朔也(池松壮亮)。ヴァーチャル・フィギュアの母が明らかにする、母の本心とは―。
AI技術の進化による、故人との対話
今よりも広がっている格差社会
一度の過ちで、人生が取り返せなくなる現実(今よりも酷そう)
ダイバーシティーと逆行した差別社会
母の本心・・・
母親の秘密を息子が知って、どのように受け入れていくのか、、的なストーリーを勝手に想像していたけれど、母親と息子の関係性が物語の中心ではなく、上記に列挙したいくつかのプロットの一つだったように感じた。正直、ちょっと詰め込み過ぎて、母親と息子の関係性がぼんやりしたままだったような気がする。それも含めて、”本心”=真実なんて誰にもわからないってことなのかしら・・
もちろん、池松壮亮の戸惑い、驚き、涙、純粋な朔也青年の演技はテッパン。そのほか、ちょい役で綾野剛や田中泯が登場していてちょっとびっくり。
一番の収穫は、朔也の幼馴染み、刹那的でチャラい岸谷を演じた水上恒司がみられたことかな。短絡的で粗野、ギラギラした若者を演じる水上を初めてみた気がする。彼の年齢なりのパワフルさと相まってインパクト大。◎
個人的に、うーんと思ったのは、本作で描かれた少し先の未来の日本が暗すぎるってこと!悲しいかな、未来は明るく良い方向に向かっている気配がないのは認める。認めるけれど、”リアル・アバター”ってのはどうよ!AIに管理され、依頼者が圧倒的優位。働く方の人権は、もう少し守られたっていいような気がする。
興味のある方は、観てみてください。あなたはこの未来をどう思います?
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