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はやし蜜豆の犬も歩けば棒に当たる、

好きな俳優の作品を集中して観るのが好き。その記録や映画の感想、日常気になる現象をぼそぼそ綴っていきます。

五月女ナオミ、天性の詩人・竹内浩三の世界を歌う -4

蓋を開けてみれば、岸和田・自泉会館でのライブは大盛況だった。

これも、五月女さんたちの足で稼いだ宣伝の賜物だと思う。

セットリストの最後に、「三ツ星さん」を入れたはの流石だと思った。

竹内浩三の詩の中で最も有名なのは、このブログでも紹介したが「骨のうたう」だ。それを最後から2番目に歌い終盤を盛り上げ、最後に”生きる”ことの喜びと尊さを高らかにうたった「三ツ星さん」で”ストン”と腑に落としてくれた。そう、この歌の会に来た意味が、最後の「三ツ星さん」を聴くことで私は腑に落ちた。

ライブの前に「ろくねん」というタイトルの朗読劇がある。(30分弱)

竹内浩三の姉(故人)の目線で、浩三の人となりを振り返るような台詞が、時の流れを象徴した男の台詞と掛け合う。ライブ前の竹内浩三の世界への導入としてなかなかの構成だ。

 

五月女さんのMCの一部に、戦争の愚かさ、戦争によるあらゆる意味での破壊を乗り越えて今の日本があることなどの言葉があり、そこに”反戦”という二文字を思い浮かべる人もいると思うが、私は今回は違った。

最後の「三ツ星さん」の印象が強烈だったのかもしれないが、戦争で”ひょんと”命を落としたであろう竹内浩三の詩は、戦争で数多の命が失われた悲惨さではなく、彼がどれだけ生きることを喜びとし、楽しいものとして生を全うしたかということを、私たちに伝えてくれるのではないだろうか。そして五月女さんのライフワークとなった「竹内浩三の世界を歌う旅」はそのことを、今を生きる私たちに力強いメッセージと共に伝えてくれる。

ふと、コロナ禍を生きる私たちの耳に、エンタメ業界から悲しい知らせが連続して舞い込んでいることを思い出した。自ら命を絶った俳優たちのことだ。同時に、日本は主要国の中でも自殺者の割合が高いことも頭をよぎる。

自ら命を絶つなんて、そんな恐ろしいこと、意気地なしの私には到底できないし、残した者たちの悲壮と恨みをかうことを考えただけでも震える。そんな考えも超えて、逝ってしまう人たちの抱えた苦悩を推し量ることなどできるものではないけれど、竹内浩三の詩に現れた、あっけらかんとした楽観主義、人生を謳歌しようとする健全な精神、それらの欠片でも、その時死を選んだその人たちにあったなら。

そんなことを考えながら、最後の歌を歌い終えた女優に拍手を送った。

そう、五月女さんは、女優だ。

とびきりの美人というわけではないが、観ている私たちの向こう側、舞台に立った時の、凛とした痩身の姿、表情は美しい。以前から感じていたことだが、舞台映えするとはこういう人のことだと思う。

次回のライブは、11月8日(日)午後2時~ 

場所:ライブハウス もっきりや(金沢市柿木畠3-6 TEL:076-231-0096)

木戸銭:1,500円(ワンドリンク付き)

お近くの方はぜひ!

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自泉会館会館で歌う、五月女ナオミ

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朗読劇「ろくねん」/ 丸 金太・五月女ナオミ

「三ツ星さん」

私のすきな三ツ星さん

私はいつも元気です

いつでも私を見て下さい

私は諸君に見られても

はずかしくない生活を

力一ぱいやりまする

 

私のすきなカシオペヤ

私は諸君が大すきだ

いつでも三人きっちりと

ならんですゝむ星さんよ

生きることはたのしいね

ほんとに私はいきている

(五月女ナオミ「歌を届ける旅」in 岸田和田&金沢 パンフレットより)