「○年前の思い出」― 数年前に撮影した写真をいくつかピックアップして表示する機能がスマホにある。それを見ては、そうか3年前にあそこに行ったのかあ、なんて懐かしく思い出す。
必ず出てくるワンコの写真のほか、友人と行ったスカイツリー、彼女とのツーショット、そして今回は最後の1枚に、野良猫のフジを大事そうに抱える父の写真。
本当に愛おしそうに、ひしっと抱いている。
当時老々介護をしていた父にとって、毎日のように訪問してくれるフジはどれだけ癒しになっていただろうか。そのことをよく知っている私は、フジが来たときは小さなお皿にミルクを入れて歓迎したものだ。
フジ、いつもお父さんの所に来てくれてありがとうねと。
5年以上に及んだ父と母の老々介護は、昨年、介護をしていた父が入院したことで終止符を打ち、その2か月後に母は天寿を全うした。
先日の帰省では、コロナが流行しているので入室しての面会できなかったが、玄関越しにグループホームにいる父に会えた。私とわかった時の父の破顔が忘れられない。
フジを抱いていたころの頑固おやじの顔ではなく、半身麻痺と認知機能の低下ですっかり弱弱しくなった老人の顔。それでも穏やかに、そしてちょっとは楽し気にホームで過ごしていることは、スタッフの話で伝わってくる。
元気だったころ「また帰ってきてくれえよ」と帰り際の私に言っていた父。
私の毎月の帰省は、まだまだ続く。

父になついていた野良猫フジ。 たぶん虹の橋を渡ったと思われる。かの地で猫嫌いの母と鉢合わせしちゃったりしたかな・・。
